三井寺(みいでら)
人買いにされわれた子供を探して母親が京都の清水の観音に参ると、三井寺へ行けという夢の告げを受ける。夢占の男の判断も吉だったので喜んで近江に向かう(中入)。三井寺では、住職達が稚児を連れて十五夜の月見をしている。一方、母親は長らくの物思いで物狂となったが道を急いで三井寺に着く。狂女は能力の撞く鐘の音に引かれて鐘楼に近づき、咎めれると古詩を引いて許しを求め、みずから鐘を撞いて戯れる。また興奮がおさまると、静かに澄み渡る琵琶湖の夜景を心ゆくまで眺めて時を過ごす。そのうち月見の席の稚児がわが子の千満と知り、狂気も直って連れ立って帰って行く。