大規模改修工事ご寄付へのお礼として仕舞扇をお届けしています
2024年9月7日
この度の喜多能楽堂⼤規模改修へ多⼤なるご⽀援を賜りましたこと、改めて厚く御礼申し上げます。
ご寄附へのお礼の品として、喜多流の仕舞扇をご対象の方へお届けしております。
喜多流に伝わる仕舞扇の柄である「⾊紙短冊」をアレンジし、京都の⼗松屋福井扇舗様に新たに
製作していただきました。ぜひ、⻑くご愛⽤いただければ幸いに存じます。
【扇の図柄について】
表図は、喜多流に伝わる仕舞扇の柄である「⾊紙短冊」を翻案にしています。
「松⽪菱」「⾊紙」「短冊」を取り合わせ、松⽪菱に梅と笹を描き「松⽵梅」に、⾊紙に蘭と菊を描き、
蘭・⽵・菊・梅の「四君⼦」を揃え、短冊には当流の極意「正⾝和聲(せいしんかせい)」の典拠である
禮記の楽記より「以禮正⾝ 以楽和聲(らいをもってみをただし、がくをもってこえをかす)」をしたためました。
喜多流中興の祖、九世古能 健忘斎の記した「寿福抄」には
“先ず流儀にて第⼀の習 能謡の極意をば「正⾝和聲」と云うなり
これは禮記の楽記に「以禮正⾝ 以楽和聲」と有り
これ礼に楽を⽤いる根元なり
能は礼儀の第⼀ ⽇本の礼楽なれば能の極意この外になし
和聲は謡なり
正⾝は舞なり
形曲(ゆが)まず直(すなお)に
威儀ありて柔和なるこそ最上と云うべし”
とあり、喜多流の極意として今に伝わリます。
(*「禮記」は儒教の経典の一つ 「楽記(がくき)」は禮記49編の第19)
裏図は、喜多流の仕舞扇の決柄の「三雲」の裏面です。
三雲の柄は、喜多流三代宗能公のお好みにて、以来喜多流の仕舞扇の決柄として伝わっております。
また親骨裏側に「喜多能楽堂令和大改修記念」と箔押ししてあります。
ご芳志は⽬標の約半額に達しておりますが、引き続き資⾦の調達に努めていかなければなりません。
喜多流能楽師、関係者⼀丸となり取り組んで参りますので、さらなるお⼒添えを何卒よろしくお願い申し上げます。